大切な人との時間。リモートワークで見つけた本当の幸せ
すれ違いの日常
会社員として働いていた頃、私とパートナーの日常は、まるで平行線のようだった。 朝は私が早く起きて、彼が寝ている間に家を出る。 夜は彼が遅く帰ってきて、私が寝ている間に帰宅する。 平日の夜に、二人でゆっくりとご飯を食べるなんて、年に数回あるかないかだった。
「おつかれさま」 「ただいま」 そんな短い言葉を交わすだけで、一日が終わってしまう。 二人の時間が取れないことについて、不満があったわけじゃない。 お互い、自分の仕事に一生懸命で、それぞれの人生を頑張っている。 そう思うようにしていた。
でも、心のどこかで、寂しさを感じていたのも事実だ。 「私たちは、何のために一緒にいるんだろう?」 そんな風に、ぼんやりと考えることもあった。
そんなすれ違いの日常を送っていた私たちが、リモートワークという新しい働き方を通して、「大切な人との時間」を、もう一度見つめ直すことになった。
リモートワークがくれた、新しい時間
リモートワークになって、私たち二人の生活は、ガラッと変わった。 朝、同じ時間に起きて、一緒に朝食を食べる。 パソコンに向かって仕事をして、お昼は二人で簡単なパスタを作って食べる。 仕事が終わったら、近所の公園まで散歩に出かけたり、スーパーに買い物に行ったり。 そして、夜は二人でゆっくりとご飯を食べて、その日の出来事を話す。
会社員時代には、当たり前だと思っていた「一緒にいる時間」が、いかに貴重なものだったか、改めて気づかされた。 それは、何も特別なことじゃなかった。 ただ、一緒にいるだけで、心が満たされていく。 そんな小さな幸せを、リモートワークが私に教えてくれた。
特に嬉しかったのは、平日の昼間に、二人で散歩に出かけられるようになったこと。 誰もいない公園のベンチに座って、ただただ静かに、流れる雲を眺める。 そんな時間が、私にとっての最高の癒しになった。 それは、週末の慌ただしいデートでは、決して得られない時間だった。
距離が縮まる、心の距離
リモートワークになってから、私たち二人の会話は、より深くなった気がする。 会社員時代は、「仕事、どうだった?」と聞かれても、「うん、まあまあ」くらいしか答えられなかった。 でも、今は違う。 彼がどんな仕事をしているのか、どんなことに悩んでいるのか、どんなことにやりがいを感じているのか。 彼の隣で、彼の仕事ぶりを、毎日見ているから、自然と会話が深まっていく。
そして、私も、自分の仕事について、より具体的に話すようになった。 「今日、こんな記事を書いたんだ」とか、「クライアントから、こんなフィードバックをもらったんだ」とか。 そうやって、お互いの「仕事」というものが、より身近になった。
それは、まるで、二人の人生が、より強く結びついていくような感覚。 仕事も、プライベートも、両方とも共有できるようになったことで、私たちの心の距離は、ぐっと縮まった。
「ただいま」が、もっと大切になった理由
リモートワークになって、私たちは、毎日「ただいま」を言い合うようになった。 会社員時代は、夜遅く帰ってきて、「ただいま」と言っても、彼はもう寝ている。 そんな日も少なくなかった。
でも、今は違う。 仕事が終わって、パソコンを閉じると、彼が「おかえり」と言ってくれる。 リビングで、コーヒーを飲みながら、今日の出来事を話す。 それは、何の変哲もない日常の一コマだけど、私にとっては、かけがえのない時間だ。
「ただいま」が、こんなにも温かい言葉だったなんて、知らなかった。 リモートワークという働き方が、私たちに、この「ただいま」という言葉の重みを、教えてくれた気がする。
幸せは、特別な場所にあるわけじゃない
リモートワークを始めてから、私は気づいたんだ。 幸せは、特別な場所にあるわけじゃないってことに。 それは、高級なレストランでの食事でも、海外旅行でもない。 ただ、大切な人と、他愛のない話をして、一緒に笑い合う。 そんな日常の中に、本当の幸せは隠されている。
私たちは、知らないうちに、たくさんの「当たり前」を、当たり前だと思って過ごしている。 朝起きて、一緒にご飯を食べる。 仕事が終わったら、一緒に散歩に出かける。 夜は、一緒にお風呂に入って、一日の疲れを癒す。 そんな、何気ない日常の中にこそ、本当の幸せは隠されている。 リモートワークという働き方が、私に、その「当たり前」の尊さを、もう一度思い出させてくれた。
大切な人との時間を、自分でデザインする
リモートワークという働き方は、私たちに、たくさんの「新しい時間」を与えてくれた。 それは、ただの時間の自由じゃない。 それは、「大切な人との時間を、自分でデザインする」という、新しい生き方だった。
もし、あなたが今、大切な人との時間が取れなくて、悩んでいるなら。 一度、働き方について、二人で話し合ってみてほしい。 「私たちは、どんな風に生きていきたいんだろう?」 その問いかけの先に、きっと、あなたたちだけの「本当の幸せ」が見つかるはずだから。