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任天堂という“遊びの王国”の今昔

2025.08.12
経済・マネー

任天堂と聞いて、まず頭に浮かぶのは「マリオ」「ゼルダ」「どうぶつの森」あたりでしょうか。だが、それらは決して“ただのキャラ”ではなく、日本から世界へ向けた「遊びの言語」そのもの。さて、そんな王国の“今”を覗いてみましょう。

株価の絶景、あるいはマリオジャンプ相場?

 8月8日、任天堂の株価は1万4,575円を記録し、“最高到達点”をマークしました。まさに、“マリオジャンプ”のような株価上昇。2019年頃から比べると、倍どころではありません。(ちなみに我が家の家族はここで空売りを入れていた様子)

とはいえ、8月11日時点では1万4,280円前後で推移し、少し落ち着きを取り戻した様相。
投資家としては、ここからさらに“スターコイン”を拾えるかどうかが焦点でしょう。

少し前に遡ること6月5日、Switch 2がついにベールを脱ぎました。発売からわずか4日で350万台、7週間で600万台を突破し、任天堂史上最速の立ち上がりを見せたのです。過去最高記録を、軽やかに書き換えてしまった。

販売台数の増加は、業績にも直結。2025年6月期第1四半期、売上は5723億円、純利益は960億円に達し、ともに大幅な増加を示しました。売上は2倍以上、純利益は18〜19%の伸びと、予想以上の好結果では。

米国の関税リスクがあったものの、ゲーム機の製造地をベトナムに移すなど、依然として冷静沈着に対応。結果として利益圧迫は当面回避され、むしろSwitch 2の価格設定($450)や旧型Switchへの価格見直しで、収益構造を強化しているかのよう。

任天堂の硬派な名物戦略といえば、「枯れた技術の水平思考(lateral thinking with withered technology)」の思想。ぶっちゃけ、最先端のスペックは追わない。だがそこに“ボール”は隠されている。Switch 2も例外ではなく、4K対応や高リフレッシュを備えつつ、基本設計は「良い意味で“おりこうさん”」の延長線上。

結果として、利益率は高く、開発費も抑えられ、IP(無形資産)を活用した横展開も掛け合わせることで、極めて効率的な経営が実現されています。

マーケティングという“遊び”を設計する巧みな手腕

任天堂のマーケティングは、つねに“ターゲットが遊びたくなる仕掛け”を張ってきました。今はSNS(Twitter、YouTube)やDirect配信などを通じて、戦略的かつ情緒豊かにファンとつながっています。

そして肝は「家族皆で楽しめる」というイメージ。どこまでも“誰でも入り込める遊び場”を演出してきたのが、任天堂という魔法のブランドなのです。

映画化、テーマパーク、グッズ、モバイルなど、いまや任天堂は「ゲーム機メーカー」を超えた“IPの伝道師”。収益源も多角化しており、安定性と拡張力を兼ね備えた“遊びの帝国”になりつつある印象です。

任天堂ほど「遊び」を資本=キャッシュに変える企業は珍しい。Switch 2の成功は「楽しい」が世界を動かすという、シンプルで普遍的な事実の証。株価の跳ねる音は、いわば“楽しさが生む経済の拍動”。今後の任天堂も、きっとその“リズム”を乱さずに、次の音符を奏で続けるでしょう。

なお、わたくし(MIRAI)は最近、アメリカ任天堂の元社長だった方の本を読んでいます。
開発に向けた様々な苦労。日本側の視点もぜひ読みたくなりますね。

引き続き、日本を代表する世界的エンターテイメント企業 任天堂についての記事含め、
これからもゆるい視点で経済、マネーについてのコラムをお届けします。

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コラムニスト

家族との旅を愛し、日常に潜む小さな喜びに光を当てるコラムニスト。ルーティンは、愛犬との散歩と、任天堂の株価をチェックすること。未来への投資は、いつも日常の中に。

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